やり直せる?

···紗英のそばが良い


それからは、私の両親の話し
姉夫婦の話し
娘の綾華の話し
洋介の雑貨店の話しを
パイを食べながら····

離婚の経緯も簡単に話すと
「色んな夫婦がいるわね。」
と、お母様と言うと
お父様から
「正直、あんな事があってから
この子から結婚の意思がないのが
見えていたのだが
妻が心配して見合いを取り繕って
かえってこの子を家から
遠ざけてしまった。」と。

「お見合いの方々には
貴史さんに釣り合う方が沢山いたと
思います。
私は、若くありませんし
私で本当に良いのか
心配しています。」
と、正直に気持ちを話すと
「紗英が良いんだ。
紗英以外と結婚したいとは思えない。」
と、貴史さん
「貴史さん、ありがとうございます。」
と、私が答えると
お父様とお母様は、
「紗英さんの笑顔と
紗英さんから醸し出される
癒しや優しさが貴史の心を
溶かしてくれたのだとわかるよ。
私達は、反対なんかしないよ。
こちらの方から
貴史を宜しくお願いします。」
と、お父様に言われて
涙が溢れた。
貴史さんは、涙を拭いてくれる。

お母様は、
「紗英さんは、綺麗よ。本当に。
お見合い写真の方達より
それに、そんな大きなお子さんが
いるようには見えないわ。」
と、言ってくれた。

お母様の顔を見て微笑んでから
貴史さんを見ると
貴史さんは、頷いてくれた。

それからは、お母様の手伝いをして
昼食を作り、色んな話をしながら
食べて、片付けをしてから
貴史さんの家を後にした。

お母様がワクモに行ってみたいと
言われたから
連絡先を交換した。
もちろん、お父様とも。

入籍は先になることは
了承して頂いて
姉夫婦や洋介、そして綾華にも
会って欲しいとお願いしたら
「「もちろん」」
と、お二人に言ってもらえた。

帰りに、
「貴史さん。
ご実家に連れて行ってくれて
ありがとうございます。」
と、言うと
「親父やお袋があんなに
喜ぶとは、思わなかったよ。
こちらこそ、ありがとう。」
と、言いながら
手を繋いで駐車場に向かう
車の中でも
手を離さない貴史さんに
「危ないですよ。」
と、言うと
「安全運転するから」
と、言われてしまって
なにも返せなかった。

住まいを考えたが
私の部屋は、電化製品を
購入したばかりだから
入籍するまでは
お互いの家に住むことにした。

知らなかったのだが
貴史さんは、リオナ銀行の支店長とか
びっくりした。

お父様とお母様からは、
話してなかったのかと
貴史さんは、叱られていたが
貴史さんは、義兄の拓斗さんが
知っているから
知っていると思っていたらしい。

貴史さんの仕事を考えながら
お互いの家を行き来することにした。

「貴史さんは、
一人が長いから
たまには、一人でいたいと思うし。」
と、言うと
「まさか。紗英のそばがいいよ。」
と、言い返された。
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