やり直せる?

···食事の前だけど


貴史さんの実家の帰りに
姉夫婦の店に行き
報告しながら珈琲を飲み

洋介には、LINEをした。

夕飯は、紗英の手作りが食べたいと
貴史さんが言うから。
実は、今日お母様と一緒に
作ったのが貴史さんが
初めて食べる私の手料理?
だったから
「あれは、お袋の味でしょ?
俺は、紗英が作った物が食べたい。」
と。

私達は、付き合いを初めた日に
キスをしただけで
先には進んでいない。

キスだけで、どぎまぎしていた私だけど
先に進んでみたい好奇心?はあった。

だが、貴史さんが前夫の要さんと
同じかも·····しれない·····と。
なんとも言えない気持ちにはなるが
それでも貴史さんといたい。

姉夫婦のカフェを出て
買い物を二人でする
カートを引く貴史さんに
食材を訊きながら
カートに入れて行く。

こんな感じの買い物は、
本当に何十年ぶりだ。

いつも一人か
綾華が小さいときは
綾華とだった。

そんな事を考えていたのが
わかったのか
貴史さんが私の頭をポンポンと
してくれた。

顔をあげた私の瞳には
涙がたまっていて
貴史さんは、親指で優しく
なぞってくれた。

「ごめん···なさい。
さぁっ、買い物して帰りましょう。」
と、言うと
私の片手を取り繋いで
歩いてくれた。

片手でカートを引くのは
大変なのに。
会計を済ませて
荷物を車に積み込んで
貴史さんのマンションへ。

私のマンションへは
貴史さんが何度か
来たことはあるが
貴史さんのマンションに
初めて入る

貴史さんのマンションは
2LDkだ。
ひろ~い。
キッチンも綺麗だ。
電化製品も揃っている
結婚を考えた人と選んだのかなぁ
と、思っていると
「ないよ。
俺を裏切った人と選んだものなんか
全て捨てて、マンションも変えたよ。」
と、言われて
驚いていると
「紗英のその驚きは
紗英の考えがわかった事?
それと全て捨てて変えた事?」
と、言うから
「どっちも。
貴史さんて、凄い。」
と、言うと
笑いながら貴史さんは
私を抱き締めた。

私も貴史さんの胸に頬を寄せて
貴史さんの背中に手を回した。

「紗英、食事の前だけど
抱いても良い?」
と、言われて頷づいた。
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