HEAVEN's Door
「…彼女にもよく言われる」

その瞬間、秋の涼しい風が吹いた。

巧くんの前髪がその風に煽られて。

思わず見惚れる。



「彼氏は?」

チラッ、とあたしを見つめる。

「…うん、20歳年上」

「…なかなか、やるねえ」

巧くんは苦笑いをしていた。



その笑い方。

凄く知っている人に似ているんだけど…

誰か、すぐに思い出せない。



デジャヴにも似た、妙な感覚を巧くんはあたしに与える。
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