HEAVEN's Door
「…巧くん、あの」

「偶然…ではないよね?」

あたしの言葉を遮った巧くんの目は真剣だった。

「このヘルメットは一応、レース用に塗装された僕専用のもの。
この模様の片方は…まだ、存在しないはず」

じっとあたしの顔を見つめる。

「巧くん、あたしのママが巧くんと一緒のヘルメットを持ってる」

「えっ…?」



そう、そんなはずはない。

こういうのは特注で塗りに出しているから。

同じ模様のヘルメットなんて。

有名ライダーのレプリカでもない限り、ない。
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