パトリツィア・ホテル
「えっ、ウソ! 学級委員になるのは嫌だったけど……新宮くんに指名されたい!」


「それに、一緒に学級委員としてやっていけるなんて、素敵!」



途端に瞳にハートマークを浮かべた女子達が、新宮くんを熱く見つめた。

『私を指名して!』と言わんばかりの女子達の熱い視線……それが新宮くんに集中する。




「えーと、それじゃあ……」


新宮くんの視線がこのクラスを泳ぐ。

他の女子達の熱い視線を躱し、躱し……私と目が合った彼は、少し驚いた顔をした……ような気がした。



「あの子と一緒にやりたいです」



彼はすっと右手を伸ばして……その人差し指は真っ直ぐに私を指した。



(えっ……いや、私と一緒に!?

そんなの、嘘よね……)



狼狽えかけたその時。

私の二つ前の席に、ゴージャス美少女の神澤さんが座っているのに気がついた。



(なーんだ、やっぱり。

変に狼狽えなくて良かった。

恥かくところだった)



私はホッと溜息をついた。



「あら……光栄ですわ。新宮くんに選んでいただけるだなんて」



私の二つ前の席の彼女……神澤さんは頬を薄っすらと桃色に染めた。



「やっぱりな」

「まぁ、神澤さんでないと釣り合わないわよね」


教室内にはクラスメイト達の納得の声が飛び交う。
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