パトリツィア・ホテル
(ふぅん……新宮くんも、やっぱり普通の男子とそう変わらないんだ)


早くもクラスのアイドル的な存在になろうとしているナナちゃん先生を見る新宮くんを観察して、そう思った。

何故だか分からないが、私は少しホッとした。





「それでは今日のホームルームの締めとして……このクラスの学級委員を決めたいと思います!」

「ゲッ……マジかよ」

「ウソ、嫌だ。誰もやりたくな〜い」


ナナちゃん先生の無邪気な言葉に湧くクラス……でも、その時。

すっと、長い手が上がった。


「僕、やります!」


自ら学級委員に立候補したのは……何と、新宮くんだったのだ。


「えっ、ウソ」

「すっげぇ、立候補だなんて。流石は新宮だ」


その意外な立候補に、私のクラスは再度湧いた。


「おっ、エラい。えーっと、新宮くんだっけ……前に出て来て下さい」


ナナちゃん先生はすっかり上機嫌で、前に出た新宮くんを見つめた。


「では、新宮くん。あなたは学級委員に立候補してくれたから……誰でも好きな女の子を、女子学級委員に指名して下さい」

「え……女子学級委員を指名していいんですか?」


すると、ナナちゃん先生は悪戯っぽく笑ってうなずいた。


「ええ。それが、立候補の特権よ」
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