パトリツィア・ホテル
*
その日の試験の帰り道。
「今日の数学。咲ちゃんは全部できたろ?」
新宮くんは白い歯を見せてにっこりと笑った。
「えっ……う、うん。埋めるだけは全部埋めたかな」
私は彼の爽やかな笑顔に見惚れながらも、しどろもどろ答えた。
「でも、ゆうちゃんも全部できたんでしょ。何てったって、学年トップの超秀才君なんだから」
やや皮肉を込めて言ってやったら、彼は少しばつが悪そうに首を横に振った。
「いいや。俺も二問ほどできなくて、飛ばしたよ」
「うそ! ゆうちゃんでも!?」
信じられなかった。まさか学年トップの彼にも解けない問題があっただなんて。
「そう。みんなも言ってたけど、解き方を身につけてるだけじゃできなかったんだよ、今日の問題は。でも、咲ちゃんはちゃんと三角関数を理解してたからできたんだ」
「ふーん……」
そんなものなのかな。
とは言っても、今日の数学も全部埋めることができたってだけで。
点数ではきっと、私は彼にボロ負けしてるんだろうけど。
そんなことを考えている私の横で、彼は薄っすらとオレンジ色に染まり始めている空を見上げた。
「試験が終わったら……来週はもう、夏休みだな」
「ええ、そうね」
私もぼんやりとその空を眺めた。
そう……もう少しで、夏休み。
高校生活初めての……そして、人生で初めて彼氏ができてから、初めて迎える夏休みなんだ。
その日の試験の帰り道。
「今日の数学。咲ちゃんは全部できたろ?」
新宮くんは白い歯を見せてにっこりと笑った。
「えっ……う、うん。埋めるだけは全部埋めたかな」
私は彼の爽やかな笑顔に見惚れながらも、しどろもどろ答えた。
「でも、ゆうちゃんも全部できたんでしょ。何てったって、学年トップの超秀才君なんだから」
やや皮肉を込めて言ってやったら、彼は少しばつが悪そうに首を横に振った。
「いいや。俺も二問ほどできなくて、飛ばしたよ」
「うそ! ゆうちゃんでも!?」
信じられなかった。まさか学年トップの彼にも解けない問題があっただなんて。
「そう。みんなも言ってたけど、解き方を身につけてるだけじゃできなかったんだよ、今日の問題は。でも、咲ちゃんはちゃんと三角関数を理解してたからできたんだ」
「ふーん……」
そんなものなのかな。
とは言っても、今日の数学も全部埋めることができたってだけで。
点数ではきっと、私は彼にボロ負けしてるんだろうけど。
そんなことを考えている私の横で、彼は薄っすらとオレンジ色に染まり始めている空を見上げた。
「試験が終わったら……来週はもう、夏休みだな」
「ええ、そうね」
私もぼんやりとその空を眺めた。
そう……もう少しで、夏休み。
高校生活初めての……そして、人生で初めて彼氏ができてから、初めて迎える夏休みなんだ。