パトリツィア・ホテル
「えっ、ていうか、この水着……めっちゃ高くない?」


勇人が見立ててくれた水着は私も気に入ったんだけど、その値段に目玉が飛び出そうになった。


「あぁ、大丈夫だよ。俺が払うって」

「え……いや、ダメだよ、そんなの。悪いし」

「何を今さら、そんなことを言ってるんだよ。将来は俺達、共有財産を持つことになるんだから」

「そ……それは、まだ分かんない!」


気が早すぎる彼に顔がカァッと熱くなって……


「え、マジ……咲ちゃん的には、まだ分からないの?」


勇人はまたしょんぼりし始めて。

やれやれと彼を宥めにかかろうとした瞬間……私はふと、大変なことに気がついた。

そう言えば……その明日からの沖縄旅行って、総額いくらくらいかかるの?


「ちょ……ちょっと、勇人。旅行の書類、見せて……」


彼から受け取った書類に目を通して、私の顔からはサァッと血の気が引いた。


「咲ちゃん、大丈夫?今度は顔色、青くなってるけど」

「な……何、これ。私、こんな額、払えないわよ」

「えっ?」

「ていうか、こんなの……お母さんに見せたら気ぃ失うわ」


旅行会社にいた時には私の意識からすっぽりと抜け落ちていたけれど、それは……割り勘で払うとしても、自分の想像を遥かに凌ぐ額だった。
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