パトリツィア・ホテル
(可愛いなぁ、もう……)

幼い子供のような笑顔を浮かべる彼を、思わずじっと眺めてしまう。

折角、飛行機が間近で見れる場所にいるのに、私の目にはキラキラとはしゃぐ勇人しか入らなくて……ちょっと小憎たらしいところもつい、許してしまえて。

(ずるいなぁ……こいつ)

私は彼の横顔に、そんな声にならない言葉を呟いたのだった。





「あっ、すごい……ねぇねぇ、お母さん。咲ちゃんだぁ!」

無邪気な彼に見惚れる私の耳に、小さな女の子の弾んだ声が入った。

「えっ、私?」

突然に呼ばれた自分の名前に驚いて振り返ると、初めて見る女の子が、やはり目をキラキラと輝かせてこちらに走ってくる。

(あれ……どこの子だろう?会ったこと、あったっけ?)

私は少し首を傾げて、その女の子を迎えた。

「すごい、すごい……本物だ!新聞で見たよりも、もっともっと可愛い!」

女の子のその言葉に、はっとした。

(そっか、そう言えば……私、『Story Maker』の発案者として新聞にも載ったんだっけ)

全くその自覚はなかったんだけど……私、今ではちょっとした有名人だったんだ。


「握手……してもらっていいですか?」

「え、ええ……私で良ければ」

「やった!嬉しい!」


少し戸惑いつつも握手をすると、その子は顔を真っ赤にしながらも白い歯を見せて喜んでくれた。
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