パトリツィア・ホテル
玲ちゃんにそこまで言ってもらえて……すごく嬉しいけれど、何だか照れくさい。

でも、母娘にとっては私がそんな『普通の女の子』なのが嬉しかったみたいで、勇人も一緒に写真を撮ったり、慣れないサインをしたり……飛行機に搭乗するまでの間、楽しい時間を過ごした。


「それでは私達、沖縄に行く飛行機に乗りますので」

「そうなんだ……ばいばーい、咲ちゃん」

「ええ。また何処かで、会おうね!」


玲ちゃんは名残惜しそうだったけれど、目的地は違ったみたい。

別れ際も少し涙を浮かべて、私の書いたサインをギュッと大事そうに抱えてくれていた。



飛行機で隣同士に座りながら、私は勇人ににっこりと笑いかけた。

「玲ちゃん、すごくいい子だったわね」

「ああ。俺よりも、ずっと咲ちゃんの方に懐いてたな。やっぱり、小学生の普通の女の子にとっては咲ちゃんが身近で、一番の憧れの存在なんだな」

勇人もニッと白い歯を輝かせた。

「パトリツィアはずっと、これからも子供達に夢を与え続けるんだろうなぁ……」

「咲ちゃんも。ずっと、女の子達の憧れで、夢なんだろうな」

勇人のそんな言葉が照れ臭くって、私の顔はまた火照ってしまう。


その時だった。

機体がゆっくりと動いて……私の体はフワリと重力を感じて。

ついに飛行機は離陸したのだ。

「わぁ、すごい……ねぇ、勇人、勇人!飛んでるよ、私達……本当に飛んでる!」

私は思わず、機内の誰よりも……小学生くらいの小さい子供達よりも大声ではしゃいだのだった。
< 161 / 214 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop