パトリツィア・ホテル
(わぁ……可愛い)

私が両手でつくったお皿の中に青くて小さいお魚が入り、ちょんちょんとつついてくる。

それ以外にも、カラフルなイソギンチャクや大きなカニなんかがいて……珊瑚礁の中にいる沢山の命を感じて。

私のテンションはマックスに上がっていた。

インストラクターの一人が泳いでいくのに付いて行くと、彼はその所々で、可愛い生き物達を見せてくれて。

その度に、私ははしゃぎにはしゃいでいたのだった。



勇人はと言うと、水中では案外、鈍臭くてスイスイと泳げない感じで、もう一人のインストラクターの手を焼かせていた。

(もう……置いてくよ〜!)

私はそんな彼を見て、内心、苦笑いしてスイスイと泳いで行った。




しかし……調子に乗り過ぎた私に、ついに罰が当たってしまった。

(うそ……おしっこ行きたい!)

事前にトイレは済ませていたはずなのに……!

一度その感覚を覚えると、海中を動く度に、したくてしたくて堪らなくなる。

でも、海中で漏らすのは憚れるし、当分は我慢して、そのまま海中の旅を楽もうとした。

しかし……海中で冷えた所為なのか、その感覚は私を容赦なく支配して。

(ダメだ……もう、限界!)

私はインストラクターに、ギブアップのサインを出した。
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