パトリツィア・ホテル
やっぱり、そんなことが起こる理由は、一つしか考えられなかった。

神澤ファイナンシャルグループ。彼女が融資を打ち切らせたんだ。

だとしたら、私のせい……
私が彼女の逆鱗に触れたせいで、パトリツィアの会社にまで迷惑がかかってしまっている……。

「取り敢えず……俺はすぐに家に戻って、状況を確認するよ。咲……本当に、ごめんな」

彼はそう言って、眉を下げてすまなさそうな顔をして……その体は小刻みに震えていた。

そりゃあ、そうだ。会社が倒産の危機……そんなのショックで、冷静でいられる訳がない。

どうにかして、彼の力になりたい……
だけれども、ちっぽけな私にできることなんて何も思いつかなくて。

果てない青空を航る大きな飛行機の中。

ただ、震える彼の手をギュッと握りしめることしか出来なかった。
< 179 / 214 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop