パトリツィア・ホテル
「神澤さん、やはり、あなたが……」

「あらぁ。誤解しないで下さる?私は何もしておりませんわよ。ただ、うちのグループとしては、将来性のないホテル会社への融資は打ち切って、早々にお金を返していただかなくては……っていう結論に至ったと聞いておりますことよ」

「将来性のないって……」

「だって、そうでしょう?御曹司様が、たかが庶民のあなたに熱を上げて。あまつでさえ、そのアイディアでアトラクションなんて創って、話題性だけでちやほやされて喜んでいるだなんて……そんな幼稚な会社に将来性なんて、見込めませんことよ」

彼女はそう言って、口を手で覆って高笑いを始めた。

(何て……人なの)

私は、すぐにでもこの手で彼女をひっぱたきたいのを必死で堪えた。

やっぱり、パトリツィアの突然の危機には、この神澤さんが噛んでいる……彼女の口ぶりから、私はそう確信した。

信じられないことだけれど、彼女は自分の傲慢なプライドと欲求のために、パトリツィアを窮地に追いやっている。

でも、ということは……
私が彼女に睨まれていることで、勇人と社長に迷惑がかかってる……。



「お願い……神澤さん」

私は頭を下げたくもない……傲慢に顔を歪めるその相手に頭を下げた。

「パトリツィアを……助けて」

そんな私の振る舞いに、彼女はさらに可笑しそうに声を上げて笑う。

でも……私はひたすらに、想いの丈を絞り出した。
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