パトリツィア・ホテル
「パトリツィアは、私達だけじゃない……子供達みんなの夢なのよ。みんなが素敵な夢を見て、一生の思い出を作って……大人になっても、子供の頃に見た夢を見ることができて。だから……絶対に、なくなったりしたらいけないの」

必死に彼女に懇願する私の頭の中には、パトリツィア・ランドでキラキラとはしゃぐ子供達の顔が浮かんで。

堪えきれない想いで半ば、涙声になった。



すると、腕を組んだ彼女はまるで私のことを蔑むように目を細めた。

「ふーん……じゃあ、あなた、別れられる?」

「別れ……?」

「えぇ。あなたが新宮くんと別れられるのなら、今のパトリツィアを救って差し上げることを考えなくもないわよ」

「え……?」

私は彼女の言うことが理解できなかった。

だって……

「何を……言ってるの?私と勇人が別れるとか、そんなこと、パトリツィアの将来性には関係な……」

「あらぁ、関係、大ありですわよ。あなたと別れることで、新宮くんは目を覚まして……本来、選ぶべき女性をお選びになるのですから。御曹司様には、身分も地位も相応の女性がつく……それこそが、パトリツィア安泰に不可欠なことですのよ」

神澤さんは右頬を吊り上げて、憎々しい笑みを浮かべた。
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