パトリツィア・ホテル
でも、どうしてもパトリツィアを救う良いアイディアは考えられなくて。

(やっぱり私……神澤さんの言うように、勇人と別れるしかないのかなぁ)

保証はないけれど……パトリツィアを救う可能性のある手段は、それしか思い浮かばなかった。



そんな絶望的な状況に、ただただ茫然としていた……
そんな時だった。

『ピロリロリン!』

不意に、私のスマホがLINEメッセージの着信音を鳴らした。

「……朱里だ」

携帯のトップに出たのは、
『久しぶり! 咲は王子さまと楽しい楽しいバカンス中だよね?だから、邪魔しにきてやったよ!(笑)』
なんてゆう、親友の能天気なLINEだった。

「違うよ、朱里ぃ。それどころじゃないんだよぅ……」

私は呟いて、思わず彼女へのLINE通話のボタンを押した。

「あれ、咲。あんた、王子さまとのバカンスは?」

スマホの向こうでは、朱里が意外そうにしていたけれど。

「聞いてよう……それが、大変なことになったんだよぅ」

私は涙ながらに彼女に話した。

沖縄旅行でのこと。パトリツィアが倒産の危機に瀕していること。青ざめた顔で社長宅に戻る彼を見て、不安で堪らないこと。

そして、神澤さんとのやり取り。
私が勇人と別れるなら、パトリツィアを救う……そんなことを言われたこと。

私は半ば、涙声になっていたけれど、朱里は最後までちゃんと聞いてくれた。
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