パトリツィア・ホテル
一体、何年分の涙だったのだろう?
枯れるほどに泣いた後……彼女はどうにか落ち着いて。そっと、呟くように話し始めた。
「……限界、だったの。何も持たない庶民の私が、大型テーマパークの社長夫人として生きていくだなんて」
「でも、亜紀さんは自分の力でル・インベスチェの社長になられました。本当に完璧な女性だと……」
私の言葉に、亜紀さんは目を瞑り首を横に振った。
「今のこの立場は私の実力で築き上げた。だから、どんなことがあっても自分で守っていける。でもね、パトリツィアでは、私はずっと、あの人のお荷物だったの」
赤くなった彼女の瞳は、またも滲んだ。
「勇人が生まれてからも、そう……どうにかしてあの人の役に立ちたい。ずっとそう思っていて、何度も会社の方針に意見したわ。でもね、周囲から『お前は何も分かってない』って、一笑に付されるだけだった」
亜紀さんはそれから、延々と話した。
資金運用の手腕を使ってどうにか役に立とうとしたけれど、誰からも相手にされなかったこと。
社長との意見の食い違いもあって。それでも多忙な彼の代わりに、一人で育児を続けていたこと。
そして、社長夫人としての立場のために、周囲からは完璧を求められて。どこにもストレスの矛先を向けることができなかったこと。
そんなことが重なりに重なって、彼女は身も心もボロボロになっていったのだ。
枯れるほどに泣いた後……彼女はどうにか落ち着いて。そっと、呟くように話し始めた。
「……限界、だったの。何も持たない庶民の私が、大型テーマパークの社長夫人として生きていくだなんて」
「でも、亜紀さんは自分の力でル・インベスチェの社長になられました。本当に完璧な女性だと……」
私の言葉に、亜紀さんは目を瞑り首を横に振った。
「今のこの立場は私の実力で築き上げた。だから、どんなことがあっても自分で守っていける。でもね、パトリツィアでは、私はずっと、あの人のお荷物だったの」
赤くなった彼女の瞳は、またも滲んだ。
「勇人が生まれてからも、そう……どうにかしてあの人の役に立ちたい。ずっとそう思っていて、何度も会社の方針に意見したわ。でもね、周囲から『お前は何も分かってない』って、一笑に付されるだけだった」
亜紀さんはそれから、延々と話した。
資金運用の手腕を使ってどうにか役に立とうとしたけれど、誰からも相手にされなかったこと。
社長との意見の食い違いもあって。それでも多忙な彼の代わりに、一人で育児を続けていたこと。
そして、社長夫人としての立場のために、周囲からは完璧を求められて。どこにもストレスの矛先を向けることができなかったこと。
そんなことが重なりに重なって、彼女は身も心もボロボロになっていったのだ。