パトリツィア・ホテル
「だって、あなたは絶対に後悔する。勇人と……子供達みんなの夢だったパトリツィアをまた見捨てたりしたら、今まで以上に深く、深く、もう立ち直れないほどに……。私には分かります」

(だって私があなたの立場なら、きっとそうだから)

言葉には出さなかったけれど、私と『似てる』亜紀さんには私の想いはしっかりと伝わった……そう、確信した。

しかし……

「あの子は、許してくれないわ」

「えっ?」

「たとえどんな事情があっても。あんな広いテーマパークで一人きりにして、とってもツラく寂しい想いをさせた私のことなんて、絶対に……」

その言葉は、今まで見てきた勇人の寂しげな表情とともに、私の胸を痛くした。

しかし、私は潤んだその目をしっかりと見据えて、はっきりと彼女の言葉を否定した。

「勇人はそんな子じゃありません。勇人は誰よりも優しくて、思いやりがあって……すっごく寂しがり屋さんだからこそ、あなたを恨んでいるかも知れない。でも……きっと、誰よりもあなたに会いたがっているんです」

目にはまた涙が滲む……だけれども、私の知っている勇人の全てを話した。

そんな私の言葉を、彼女は瞳に涙を浮かべつつも、最後までちゃんと聞いてくれた。
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