パトリツィア・ホテル



〜回想は終了して……応接室にて〜


「まさか、そんなことが……」

呆気に取られる私達に、彼女は邪悪な笑みを浮かべる。


神澤さんは書類を改竄して審査を通した。

私達の前で、はっきりとそう言った。

信じられない。本当に信じられないことなんだけど。

もし、それが本当だとしたら……

「不正融資ね」

応接室のドアをギィッと開けて入ってきた女性が、凛とした声で言い放った。

「はぁ……誰ですの? 関係ない人は入って来ないで下さる……」

「関係なくないわ!」

彼女の突然の登場に眉をひそめる神澤さんに、私はきっぱりと言った。

「だって、この方こそ、旧姓『新宮』亜紀さん……勇人の実のお母さんなのよ」

「えっ……」

「何だって……!?」

突然の出来事に神澤さんはひどく驚愕した様子で……

勇人も目を見開いて、放心状態になっていた。

「お母さん? どうして……?」

勇人はまるで真っ白になっているようで、必死で言葉を探していたけれど。

「勇人……今まで、本当にごめんなさい。事情は後でじっくりと話すから……今はまず、この事態を収拾しましょう」

彼女は穏やかにそう言って、真っ直ぐに神澤さんを見据えた。
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