パトリツィア・ホテル
「ふっ……新宮くんを捨てた方が、何を今更! これは、私とそこの二人の問題ですわ」

明らかに動揺しつつも……神澤さんは腕を組んで私と新宮くんをギロリと見た。

しかし、亜紀さんは首を横に振り、凛とした声で話し始める。

「いいえ、神澤ファイナンシャル・グループのお嬢さん。あなたのしたことは、不正融資。あなたの勝手な想いのために、融資にまつわる資料を改竄して、不正に審査を通した。そんなことが表沙汰になったら、大スキャンダルよ。勿論、神澤ファイナンシャルはただでは済まない。いくらお嬢さんでも、そのくらいは分かるわよね?」

「そ……それは……」

資金運用について精通した亜紀さんの言葉に、神澤さんの顔はみるみる青ざめていった。

しかし、亜紀さんはなおも、畳み掛けるように続ける。

「私が密かに知る限り……神澤ファイナンシャルは、同じような不正をこれまでも幾度となく働いてきた。今回の件を皮切りに今までの不正が全て明るみに出たら、パトリツィアの危機どころじゃない。あなたの会社こそ、もうおしまいよ」

「しょ……証拠は? こんな書類なんてなくなってしまえば、もう証拠も何もありませんわよ」

真っ青な顔をして冷や汗を流す神澤さんは、苦し紛れに、その書類を一気にビリっと破り捨てた。
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