パトリツィア・ホテル
「本当はずっと、寂しかった。寂しくて、どうして周りの友達にはお母さんがいるのに、僕にはいないんだろうって。悲しくて、恨んだりもした。でも、今は……こうして、僕に会ってくれた。ただ、そのことが嬉しいんだ……」

「勇人……」

優しくて温かい勇人の言葉が、まるで亜紀さんを柔らかく包み込むようで。

美しいその目からは、次々に涙が溢れ出て……そんな彼女を、瞳を滲ませた勇人がギュッと抱き締める。



誰も入り込めない母子の絆……それはとっても美しくて。

母子のかけがえのない時間を、これからもずっと大切にして欲しかったから……
私はすっと目を閉じて、そっとその場を立ち去ったのだった。
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