パトリツィア・ホテル
「勿論、君一人でやれとは言わない。勇人と『二人で』その春の遠足までに、よろしく頼むよ」

「え……で、でも……」

狼狽えて言葉を濁す私の隣で、新宮くんがはっきりと答えた。

「はい、お父さん……いや、社長。俺、咲と二人ならきっとやれます」

「い、いや、ちょ……私は……」

またしてもあたふたしている私をよそに、社長様はにっこりと白い歯を見せて微笑んだ。

「そうか、そうか。二人とも。頼りにしてるぞ!」

どうやら、話はまとまってしまったみたいだ。



でも……

(ど……どうしてくれるのよ〜、この状況〜〜!)

そんな私の心の叫びが、頭の中で響き渡ったのだった。
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