パトリツィア・ホテル
「だが一つ、条件がある」

「条件?」


すると、彼の父親は悪戯っぽい笑み……そう。

彼がいつも、私に対して浮かべるのと同じ笑みを浮かべた。


「その春の遠足までに……パトリツィア・ランドの新作アトラクションを一つ考えてもらいたい。それが、条件だ」


(えぇ〜! 何、それ?)


意味が分からなかった。

だって、私にテーマパークのアトラクションなんて……考えられるわけがない。


「い、いや……私にそんなこと。だって……私、そこらにいるような普通の高校生だし、そんなの考えられるわけが……」

「そういう子の感覚が必要なんだ」


彼の父親……パトリツィア・ホテルの社長様は不敵な笑みを浮かべた。


「うちのランド……パトリツィア・ランドは少々大きくなりすぎた。その所為なのか、最近では社員が新しいアトラクションを考えても、どこか一般の感覚とはずれていて泣かず飛ばずでね。来てくれるお客さんのウケが良くないんだ。だからこそ、是非、どこにでもいる普通の、君のような子に力を貸してもらいたい」


その言葉がどこか嫌味っぽくてムッとした。

いや、それより……そんなことより!

何で私がそんなことやらなきゃいけないの?

というかそんなの、どうやったらいいの!?

頭がこんがらがっている私をよそに、彼の父親……社長様は話を進めた。
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