パトリツィア・ホテル
「そうと決まれば……明後日の日曜日。一緒に行かねぇ?」

「えっ?」

狐につままれる私に、彼はにっこりと笑った。

「パトリツィア・ランド。だって、行かないとアイディアも湧かねぇだろ。決まりな!」

新宮くんは白い歯を見せた。

「えっ、いや……そんな勝手に……」

「あ、もう駅着いた。もうすぐ電車来るから急げよ。じゃあな!」

「ちょっと、そんな……」

駅まで私を送った彼は、そのままの足で自分の家へ駆けて行った。

(えぇ〜〜! これってもしかして……デート〜!?)

あまりにすんなりと取り付けられたその約束に、私は真っ白になって。

駅でただ、茫然と立ち尽くしていた。
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