パトリツィア・ホテル
*
翌日の土曜。
「ねぇ、お願い。大至急、今日一日で私にファッション、伝授して」
私は手を合わせて朱里に頼みたおした。
「え、あんた。本当に私服、それしか持ってないの?」
朱里は私が私服として着ている色褪せた黄色いTシャツにヨレヨレのジーパンを見て、眉をひそめた。
「だって、制服があるし、私服なんて着る機会ないと思ってたんだもん。高校合格のお祝い金はパソコン買うのに使ってしまったし……」
私は涙目になった。
すると、朱里は溜息をついた。
「しゃあない。今日一日で、あんたをお洒落さんにしてあげるわ」
「ホント!?」
(やった! 持つべきものは、高校デビューのお洒落な友達……)
私は心の中でガッツポーズをした。
「その代わり、私にも紹介しなさいよ。あんたの彼の友達の……絹川くんでいいから」
絹川くんとは、新宮くんとよくつるんでいる町病院の後取り息子で、その甘いマスクが女子達に人気だ。
「いや……だから、彼氏じゃないって!」
「何言ってるの? 明日、デートに行くんでしょ? もう、彼氏も同然じゃない」
「違……それに、絹川くんも同じクラスでしょうが! 紹介って……自分で話しかければいいじゃない」
「それができないから、あんたに頼んでんじゃん」
そんなことを言い合っているうちに、私達はファッションショップにたどり着いた。
翌日の土曜。
「ねぇ、お願い。大至急、今日一日で私にファッション、伝授して」
私は手を合わせて朱里に頼みたおした。
「え、あんた。本当に私服、それしか持ってないの?」
朱里は私が私服として着ている色褪せた黄色いTシャツにヨレヨレのジーパンを見て、眉をひそめた。
「だって、制服があるし、私服なんて着る機会ないと思ってたんだもん。高校合格のお祝い金はパソコン買うのに使ってしまったし……」
私は涙目になった。
すると、朱里は溜息をついた。
「しゃあない。今日一日で、あんたをお洒落さんにしてあげるわ」
「ホント!?」
(やった! 持つべきものは、高校デビューのお洒落な友達……)
私は心の中でガッツポーズをした。
「その代わり、私にも紹介しなさいよ。あんたの彼の友達の……絹川くんでいいから」
絹川くんとは、新宮くんとよくつるんでいる町病院の後取り息子で、その甘いマスクが女子達に人気だ。
「いや……だから、彼氏じゃないって!」
「何言ってるの? 明日、デートに行くんでしょ? もう、彼氏も同然じゃない」
「違……それに、絹川くんも同じクラスでしょうが! 紹介って……自分で話しかければいいじゃない」
「それができないから、あんたに頼んでんじゃん」
そんなことを言い合っているうちに、私達はファッションショップにたどり着いた。