パトリツィア・ホテル
次の日……私は早朝五時に起き出してお弁当作りを頑張った。

いつもはこんなに早くは起きないけれど、新宮くんのお弁当を作るってだけで、気合いが入ってしまう。

でも……


「こんなの、新宮くんの口に合うかな……」


自分の作ったのを改めて見ると、肉巻きにポテトサラダ、れんこん金平……。

私の作ったお弁当はどう見ても庶民のもので。


「新宮くんはきっと、毎日、もっといいものを食べてるんだろうな」


急に自信がなくなってきた。

でも、彼の食べているものなんて、私には想像もつかないし……

そんなことを考えている間に家を出る時間になって。

私は不安を抱えつつも、学校へ向かった。



校門に入ろうとするとポンと肩を叩かれて、振り返ると新宮くんの爽やかな笑顔があった。


「咲ちゃん、おはよ!」

「お……おはよう」


もうすっかり、『咲ちゃん』という呼称が定着してしまっていた。


「お弁当。持ってきてくれた?」

「ちょ、ちょっと……」


私は辺りを見回して、声を潜めた。


「周りにうちのクラスの女子がいたら、どうするの? 私が新宮くんにお弁当を作ってきてるなんて知られたら、マズいんだからね」
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