パトリツィア・ホテル
彼と約束はしたものの……。

自分の想いが言葉としてまとまらないまま、春の遠足の当日を迎えてしまった。


「わぁ、すごい! 本当に、貸切だ」


広い広い夢のランドは、本当に私達のクラスだけのもののようで。

さらにその日は、空も雲一つない晴天で。

クラスメイト達もウキウキと期待に胸を膨らませていた。



この素敵な日に、ナナちゃん先生も青空を背景に爽やかな笑顔を浮かべた。


「はい、皆さぁん。この遠足でこの場所……パトリツィア・ランドを貸し切らせて下さる、パトリツィア系列の経営者の新宮社長が、皆さんにご挨拶を下さります」

「えっ、マジ?」

「新宮くんのお父さんを見るなんて、初めてよね」


ナナちゃん先生の言葉にクラスメイト達はざわめき立った。

次の瞬間。


「皆さん、はじめまして。本ランドを含めパトリツィア系列のグループ社長を務めます、新宮です」


私は前に会ってお話をした、新宮くんのお父さんが挨拶を始めた。


「すごい……ダンディ!」

「流石、新宮くんのお父さんよね」


思った通り……社長は一瞬で、クラスの女子達のハートを掴んで。


(やっぱり。こういう所も親子だな)


私は密かに感心してしまった。
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