カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~
「菜々花さん……」
ドアの表面に手をつき、自分の非力にただうなだれるしかできない。
これでは記憶のない俺が彼女を振り回していたようなもので、例え同居を了承してくれたときに俺への好意があったとしても、今回のあり得ない勘違いの発覚が彼女にやりきれない思いを植え付けただろう。
幻滅されたに違いない。
「……わかった。少し、時間を空けよう。着替えて温かくして。そしたらリビングで、もう一度話すチャンスをくれないか」
しばらく待っても、返事はなかった。
「……菜々花さん、待ってるから」
手の平に思いを乗せてドアへと伝え、俺は腕を下ろす。頭を抱えたくなるほどの後悔を感じながらも、リビングへと引っ込むしかなかった。