カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~
◆ ◆ ◆
「斗真さん。今日は西エリアの店舗の視察ですよね。店長さんたちにご挨拶のメールを送っておきました。あと報告書のデータが一部間違っていたので直しましたので確認してください。それとーー」
翌日、朝。
私は昨日と人が変わったようにマネージャー室の中を動き回り、テキパキと整理した用件を片付けていく。
ポカンとする斗真さんに忙しく話しかけ続けていると、やっと彼が「うん、わかった」と相づちを打ちだした。
よし、いつもは彼が視察から戻ってから着手する雑務を、今日は朝のうちに終えられた。
斗真さんの勤務はフレックス制だが、店舗や本社とのやりとりが多いため早くは帰れない。彼の残業時間を少しでも減らす、それが目下の目標だ。
「……驚いた。星野さんって、めちゃくちゃ仕事できるんだな。いるとすごく便利だ」
「そ、それはどうも」
「てっきり玉の輿狙いで仕事はおざなりなのかと思ってたよ」
また。斗真さんたら、私を褒めると見せかけて失礼なことばかり言うんだから。