カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~
「そういえば、斗真さんにご相談があるんです」
「う、うん? なに?」
「持病で手術をしたいんです。七日間の入院が必要ですし、ここへ来たばかりで休暇を取るのはご迷惑かと思います」
「……え? 持病、って……」
彼は眉を寄せる。
「代わりが見つかるまでは休まず勤めますので、新しい秘書を採用したら、退職させていただけませんか」
「ちょっと待て。待ってくれ。いきなりいろいろ話すな」
斗真さんの手のひらを見せられて、目の前でブルブルと振られ、私の話はかき消された。彼は右手で自分の顎に触れ、戸惑いの表情を見せている。
「きみの持病の話は盗み聞きしたという近藤さんから軽く聞いたが、マジなのか?」
「マジ、とは?」
「兄貴に妊娠だと誤解させるための作り話じゃなかったのか?」
この人は。まだそんなことを言っているのか。
ため息をつきながら「だから私は騙すつもりもないし、嘘だってついてないって最初から言っているじゃないですか」と吐き捨てる。