カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~

「いや、待て……。その件に本当に悪意がないのだとしたら、僕のきみへの評価がまた変わってくる。それに、御曹司狙いでなく本当に兄貴に惚れているというのなら、結婚に反対する理由もない」

彼は混乱しながら両手を広げ、手のひらを返したように私へ釈明を始めた。勝手に私を悪人に仕立て上げたくせに、今さら?

しかし申し訳ないが、もう私にはなにも響かない。そもそも斗真さんの反対は隼世さんを避けるのにちょうどよかったから私も利用させてもらったわけで、この人の反対がなにかの決め手になったのではない。

隼世さんの気持ちが私にない、ただそれに気づいただけなのだ。

ああ、ダメだ。何度も言わせないでほしい。この事実を口にすると、涙が溢れてくるから。

「私がいくら想ったところで、隼世さんは、私との結婚を望んでいないですから……」

視界が一気にぼやけ、泣き顔を見せてはいけないと咄嗟に立ち上がって部屋の角へ逃げたてコーナーを向いてに座り込んだが、「うっ……うっ……」と声をあげての号泣に変わる。
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