カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~


◆ ◆ ◆

体重をかけてドンドン叩いていたマネージャー室の扉が開かれ、俺は前方によろけながら中へ入る。
こちらはこんなに騒がしくしているのに、斗真は焦りひとつ見せていない。

「兄貴。久しぶり」

弟の挨拶は無視をし、まずは室内にまんべんなく目をやる。
菜々花さんがいない。ここにいると踏んで来たのに。

「星野さんなら、今はいないよ」

「どこにいる!」

「秘密」

指を立てて口にあてる斗真に感情のままに詰め寄り、胸ぐらをグッと掴む。

「……なぜ勝手に菜々花さんを俺から遠ざける。彼女には連絡も繋がらないし」

「残念。それは僕の仕業じゃない。連絡を断っているのは彼女の意志だ。秘書の件も、ちゃんと考える時間を与えた上で彼女からここへ来たいと申し出があったんだから」

斗真の言い分が真実だということは、俺もわかっていた。俺から離れたいというのは、菜々花さんの選択なのだろう。

それがわかっているからなおも悔しく、掴む手に余計に力が入る。
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