カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~


ところが開始三十分、私がバリケードになっていたのに女性陣はうまいこと課長を輪の中へと取り込んで行ってしまった。

私は名残惜しく、遠くなった彼を遠目で見る。

「はーい隼世課長、次は私のお酒飲んでくれますよねぇ?」

「は、はい」

すでにほろ酔いの佐藤さんは、自分のカシスサワーを課長の頬に押し付ける。

「ねぇねぇ隼世課長、ポテト食べますぅ? あーんして、ほら。あーん」

「いや、それは自分でっ」

今度は口の中めがけて、柏木さんがポテトを。

やがてコールの拍手が鳴り、課長は「飲んで終るなら」という困った表情でグラスを空にした。

あーあ……皆、課長にだけあんなに飲ませちゃって。
課長も断ればいいのに、コミュニケーションを取らなければと真面目に取り合ってしまうのだろう。さすがに酔い始めて赤くなっている。
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