カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~
今日も嫌な予感がする。
「隼世課長。もう、今日もネクタイ曲がってますよぉ」
「す、すみません」
やっぱりか。
佐藤さんが俺のネクタイに触れ、グイグイと引っ張る。今日こそ絶対に曲がっていないはずだと先程トイレの鏡で確認したのに。
「ストライプのネクタイって爽やか。さすが課長、若ーい」
直そうとする素振りをした佐藤さんだったのに、なぜかネクタイをスーツから出される。芝居がかった彼女の声に、俺は眉をひそめた。
「……変ですか?」
嫌になった俺は立ち上がって離れ、自分で整える。なんなんだよ、もう。
すると今度は背後から五十代の女性パートタイマー、柏木さんが現れ、俺の背中に近づいて襟足の髪に触れてきた。
「あらあらぁ、寝癖がついてますよぉ。かわいいんですからぁ」
柏木さんの手は俺の襟の中に入り込んできて、ゾワリと悪寒が走って思わずのけ反る。驚いて「うわっ」と声を上げ、一歩前へ出て距離をとった。