カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~




その日の夕食の時間。

ガラスの張られたダイニングテーブルにクリーム色のランチマットが敷かれ、そこへ近藤さんの作ったコース料理のお皿が順々に置かれる。

自宅なのに高級レストランのようなお料理ばかり出てくるが、隼世さんは慣れた手つきで上品に口へ運んでいる。
私もそれに倣い、テーブルマナーに気を張りながらいただく。

「ん、すごくおいしいです」

キッチンにいる近藤さんにお礼を言うと、相変わらず真顔でお辞儀をされた。

ふと、二番目に運ばれてきたローストビーフのサラダを前に首をかしげる。
隼世さんのお肉はレアなのに、私のは中までしっかり火が通っている。私もどちらかと言えばレアが好きなのにな。

続いてのサーモンのマリネも。私のだけ炙られている。

食後のコーヒーも私のはオレンジジュースだし、なぜメニューが違うのだろう。
しかし文句など言えるはずはなく、不思議に感じながらも大人しく完食した。
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