政略夫婦の授かり初夜~冷徹御曹司は妻を過保護に愛で倒す~
 嫌悪感を露わにしてなかなかひどいことを言う敬一に、苦笑いしてしまう。

「それに仕事ばかりして、家庭を顧みないタイプそうじゃん」

 敬一の言うことはおそらく正しいだろう。そもそも私たちは政略結婚。向こうだって両親に言われて渋々……だろうし。

 きっと結婚も仕事の一環としか考えていないのかも。だけどそれは私にとって好都合でもある。

「だったらそのほうがいいかな。仕事ばかりで家にいないのなら、その分私は自由に過ごせるってことでしょ?」

「それはっ……! そう、かもしれないけど。でもそれじゃ姉さんが幸せになれないじゃないか。……子供の頃、俺に言ってたじゃん。好きな人と結婚して幸せになりたいって」

 敬一ってば、ずいぶんと昔のことを覚えているものだ。

 幼い頃の夢は、好きな人と結婚して幸せになることだった。それはママにまるで呪文のように言われていたからかもしれない。

『いい? 未来、結婚は本当に好きな人としなきゃだめなの。そうでなければ幸せになれないわ。……パパのように立派な仕事をしていなくてもいい。ただ、未来のことを愛してくれる人と結婚してね』

 今思えばそれは、自分と同じ道に進んでほしくないというママの想いだったのかもしれない。

 ごめんね、ママの願いを叶えてあげられそうにないよ。だってこの家に生まれてきた以上、結婚は好きな相手となんてできないのだから。
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