政略夫婦の授かり初夜~冷徹御曹司は妻を過保護に愛で倒す~
 恋愛から遠ざかり、仕事に没頭するあまり肝心なことを忘れていた。

 俺はまた同じ過ちを繰り返すところだった。昔のように、仕方がないの一言で片づけられない。未来がそばにいない日々などもう考えられないというのに。

 帰ったら未来に言おう。俺が未来と結婚したのは親に言われたからでも、ましてや同情したからでもない。未来のことを愛しているからだと。

 そう心に決め、料理に箸を伸ばす。竹山もまた食べる手を動かすと、チラッと俺を見た。

「できれば仕事面でもそうしてほしいものです。専務は優秀な者ほど厳しく接しますが、それは期待しているからだと伝えないと、冷徹な人だと勘違いされたままですよ?」

 勘違いされたまま、ね。竹山もうまく言葉を濁したものだ。

 重役たちをはじめ、社員から自分がどう思われているかくらいわかっている。長年会社に尽くしてきた重役たちには、うるさい若造として煙たがられているだろう。

 そして社員からは、冷徹で優しさの欠片もないと思われているんだろうな。
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