政略夫婦の授かり初夜~冷徹御曹司は妻を過保護に愛で倒す~
『もしもし、未来?』

 再度名前を呼ぶが、一向に彼女の声が聞こえない。

『どうした? 未来。なにかあったのか?』

 日本を発つ前に、なにかあったら連絡をしてくれと伝えた。これまで一度も連絡がなかったのに電話をしてきたということは、なにかあった?

 心配で聞くと、未来は消え入りそうな声で言った。

『弦さん、早く会いたいです』

「えっ……」

 予想しない言葉を言われて戸惑う。

 俺の聞き間違い? 未来が俺に会いたいなんて……。

 すぐには信じることができず言葉を失う。

『会いたいです、弦さん。……だから早く帰ってきてください』

 涙声で放たれた一言に心が震える。

 聞き間違いではなかった。未来も俺に会いたいと思ってくれていたんだ。

 嫌でも期待してしまう。彼女もまた自分と同じ気持ちなのではないかと。

「わかった、一日でも早く帰る。……俺も未来に早く会いたい」

 会って好きだと伝えたい。そして未来の気持ちも聞きたい。

『本当、ですか?』

「あぁ、会いたいよ。こっちに来てから未来のことばかり考えていた」

 愛しさが溢れて止まらない。声を聞いただけで今すぐに会って思いっきり抱きしめたくなる。
< 126 / 235 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop