政略夫婦の授かり初夜~冷徹御曹司は妻を過保護に愛で倒す~
「最初はお義兄さんとの結婚には大反対だったけど、今は姉さんの相手がお義兄さんでよかったと心底思うよ。……これからは俺じゃなくて、お義兄さんに守ってもらってね」

「敬一……」

「もちろん俺も弟として変わらず姉さんの力になる。たったふたりの姉弟だ。姉さんとはずっと助け合いながら仲良くしていきたい」

「うん……っ」

 お父さんとお母さんに愛されることは叶わなかったけれど、敬一という弟がいて、愛する弦さんと家族になることができた。
 そして来年には家族が増える。これ以上の幸せを望む必要などない。

「それと俺、もっとお義兄さんと親睦を深めたいです! さっきの本当にかっこよかったです。男として好きな子を全力で守る姿に痺れました!!」

「そ、それはありがとう」

「今度よかったらふたりで飲みに行きましょう!」

 敬一はさっきと同じように目を輝かせ、羨望の眼差しを弦さんに向ける。

 どうやら弦さん、敬一に懐かれたようだ。

 最近までは弦さんを毛嫌いしていたというのに。現金な敬一に呆れつつも、そんな敬一にタジタジになっている弦さんを見て、申し訳ないけれど笑ってしまった。
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