同期の御曹司様は浮気がお嫌い
◇◇◇◇◇



下田くんからは毎日連絡がくる。
それを確認する度に気持ちが沈み、削除しても毎日送られてくるので胃がムカムカしてくる。
優磨くんに見られたらいけないとトイレにも洗面所にもスマートフォンを持ち込むようになった。

「波瑠、毎日スマホ持ってるね」

「え!? あ、いや……実家から頻繁に連絡がくるの……そろそろ顔見せに帰って来いって……」

「そう……」

まただ。また私は優磨くんに嘘をつく。

「もう何年帰ってないの?」

「就職した年のお盆に帰ったきりだから4年かな」

「それはご両親も寂しいだろうね」

そう言うと私を抱きしめる。優磨くんはスキンシップが好きでたくさん私に触れる。それがとても安心する。

「波瑠のご両親にもいずれ挨拶したい」

「うん……私たち、そろそろちゃんとしなきゃね」

優磨くんのご両親に挨拶をするという話は、私が慶太さんの店で働いて落ち着いたらということにしている。

「焦らなくていいよ。波瑠のペースで」

「うん……」

こんなにも大事にしてくれる優磨くんが愛しい。しっかりしないと。優磨くんに頼らない自分にならなきゃ。
下田くんをはっきり拒否すると決意した。

警察に相談するしかないかもしれない。それは優磨くんに知られずに解決できることなのだろうか……。










優磨くんが出張に行くことになった。今までなら夜にいないと寂しく感じていたけれど、私も仕事を始めて毎日充実していることが寂しさを感じなくさせてくれた。
パン屋さんでの仕事は思った以上に楽しい。他の従業員は学生から親の年代の方もいて刺激をもらっている。

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