同期の御曹司様は浮気がお嫌い
仕事からの帰りに優磨くんから出張先の観光地の写真がLINEで送られてきた。マンションの前に着くと立ち止まって写真を眺める。海が一望できる丘の上のようだ。今度この近くに大型リゾートを作るのだという。
写真の感想を返信すると電話がかかってくる。優磨くんからだと思ってよく画面を見ないままタップすると「波瑠ちゃーん!」と女性の声が耳に響く。
「え? 美麗さん?」
「今からマンション行くね」
「今からですか?」
驚いた声を出すとすぐ後ろに車が停まった。
「ね、今着いたよ」
「早いです……」
通話を切ると呆れて車に近づく。今日の運転手は泉さんではないようだ。
「今日は泉さんじゃない方なんですね」
私は運転手の男性に軽く会釈した。
「泉ちゃんは優磨の出張に同行してるよ。優磨の秘書であって美麗の専属運転手じゃないし」
「そうですか」
既に美麗さんは泉さんといつも一緒にいるイメージがついてしまっていた。
「今日はどうされました?」
「優磨がいないと波瑠ちゃん寂しいんじゃないかと思って遊びに来ました!」
「え……」
「今日泊っていくね」
そう言うと美麗さんは大きい荷物を抱えながら車から降りる。
「ちょっ……本当に泊まるんですか?」
「そうだよ。安心して、美麗は本がいっぱいある部屋のソファーで寝るから」
美麗さんがダブルベッドじゃなく書斎のソファーで寝ると自分から言い出すのは意外だったけれど、あそこは慶太さんが残した本がたくさんあることを思い出した。
優磨くんも怒るだろうし、さすがに泊まることは遠慮してもらおうとすると美麗さんの合図で車は動き出して行ってしまった。仕方なく美麗さんをマンションに入れる。