同期の御曹司様は浮気がお嫌い
落ち着いた雰囲気の泉さんも優磨くんに負けず劣らず綺麗な顔をしている。城藤に関わる人は皆美形なのだろうか。秘書という仕事のイメージのせいか口数が少ない泉さんはミステリアスだ。
「ハルちゃーん!」
突然後部座席の窓が開き美麗さんが顔を出す。
「お姉さん!?」
「ねえ、ハルちゃんも今から優磨の会社に行かない?」
「え?」
思いがけない誘いだった。
「だめです美麗さん」
泉さんがすかさず止めるけれど美麗さんは「泉ちゃんだけずるい」と拗ねる。
「優磨さんが怒りますよ。美麗さんだけは連れてくるなと社長にも言われています」
「そんな厄介者扱いしなくてもいいじゃん!」
ぷうっと膨れる美麗さんは怒っても美人だ。
「こうして私といるだけでも問題なんです」
美麗さんは泉さんを無視して「ハルちゃん乗って」と私を促す。
「でも……」
「美麗さん」
泉さんが厳しい声で止める。
「美麗はだめでもハルちゃんはだめって言われてないでしょ」
「私が優磨さんに怒られます」
「美麗が連れて来たって言えばいいでしょ。ほら乗って」
ドアを開けられると手を引かれ強引に車内に乗せられた。
「あの……私が行ってもいいんですか?」
優磨くんには封筒だけ渡すように言われた。会社に持ってきてと言われたわけじゃない。
「美麗さん、社長に見つかったら怒られるのは優磨さんですよ」
「優磨が怒られっぱなしなら、それは優磨にとってハルちゃんがその程度ってことだよ」
二人の会話の意味が分からなくて私は封筒を抱えたまま口を噤む。
「はあ……」
泉さんは溜め息をつくと渋々車を発進させた。美麗さんには泉さんも敵わないのだろうか。