同期の御曹司様は浮気がお嫌い
◇◇◇◇◇



「その方は学生の時のお友達?」

カーナビで行き先を設定する優磨くんに話しかける。

「ううん、家庭教師だった人」

「あ、部屋の前の住人の方かな?」

「そうだよ。その人今は実家のパン屋を継いでるんだけど、今日4店舗目がオープンするんだ。それでお祝いに行きたくて」

「そうなんだ。経営も順調なんてすごい。優磨くんの家庭教師だったってことは優秀なんだね」

「まあその人を追って俺も同じ大学に行ったしね」

ということはかなりの高学歴だ。私のような凡人がついて行っても大丈夫なのだろうか。

車で2時間近くかけて行きついたのは郊外のショッピングモールだった。

「あそこかな?」

「そうかも。取材の人もいるしね」

離れたところからも分かるほどに目的の店は行列ができている。カメラで撮影している作業腕章をつけた人もいる。

「すごいね、優磨くんのお友達」

「そうだ、言い忘れてたんだけど……」

優磨くんは店に近づく前に立ち止まった。

「今から会う友人には姉さんの話は禁句ね」

「え? どうして?」

「ちょっと色々あってね。その奥さんになら大丈夫だけど、友人がいる前では言ってはだめだよ」

「うん。分かった……」

事情はよく分からないけれど優磨くんにとって不都合ならわざわざ言ったりはしない。

私たちは行列の最後尾に行こうとしたけれど、「優磨」と呼び止められた。振り返ると呼び止めた人物は優磨くんと私に向かって手招きしている。

「慶太さん!」

優磨くんが手を振りその人に向かっていくから私は一歩後ろからついていく。

「久しぶりだね」

未来(みく)ちゃんが産まれて少し経ったぐらいに会ったきりですから」

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