地味で根暗で電信柱な私だけど、二十代で結婚できますか?
「初めて会ったときからいいなぁって思ってたんです」

 彼は唇から指を離した。

 急に失った彼の温度に私の唇は寂しさを覚える。それをごまかすように私は口を開いた。

「でも私、可愛くないし」
「清川さんは可愛いですよ」
「背だって佐藤さんより高いし」
「俺はそんなの気にしません」
「年だって上だし」
「年下は嫌いですか?」

 彼は不敵に笑う。ニヤリとした表情はどこか自信に満ちていて、その力強さに惹き寄せられそうになった。

 あ、これは駄目だ。

 私、落ちる……。

「清川さん、俺と付き合ってください」

 そっと私を抱き締めて佐藤さんは耳元でそうささやく。彼の吐息が耳に当たってくすぐったい。

 私、ひょっとしたら二十代で結婚できるかも。

 みんなにノロケ話を披露できるかも。

 彼の匂いに包まれながら私はぼんやりとそんなことを思うのであった。
 
 
**本作はこれで終了です。

 ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
 
 
 
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