冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
筋肉質なたくましい背中は暖かい。


どうしてこんなに親切にしてくれるのかな。


もしかしたら私のことを好きとか?
いや、まさかそんなはずはないよね。


これまでの彼は私のことなんて興味なさそうだったし。


でもでも、付き合うことになったから大事にしてくれようとしているのかな。


彼の背中の後ろでその体温を感じながらうっとりしていた。


私達を見た人たちはすごくびっくりしていて周りがざわざわして騒がしかったけど、彼はあんまり気にしていないみたい。


彼の背中におぶさってその後頭部を見ていたらなんだかいよいよ実感がわいてきた。


彼のシャンプーの香りにもドキドキする。


ああ、なんだか。


私たち本当に付き合ってるんだなって。


そう思ったら気持ちがフワフワするくらいに落ち着かない。


「……大好き……あっ」


わわっ、どうしよ、私ったら思ってることが勝手に口から洩れちゃって。

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