いつか咲う恋になれ
「理由は分からないんだ。でも……穂花ちゃんがコタに告白されて、俺達の恋愛ごっこをやめてからかな、スランプの始まりは」

急に真尋先輩の顔つきが変わり、力強い真剣な眼差しで私を見てくる。

「ねぇ、何でコタと付き合わなかったの?」

それは真尋先輩の事が好きだから…なんてまだ言えないし。でも何か答えないと、えっと……

「なんて本当は分かってるけどね。まだ誰とも恋愛する気分じゃないんでしょ?」

そうじゃないけど、そうじゃないけど……私は『はい』と小さな声で返事をした。

「俺さ、ずっと気になってたんだ。コタと穂花ちゃんの事が。それでこの前コタが振られたって聞いて……何か良かったと思っている自分がいた。嫌な奴だよな俺」

やばい。脈拍が上昇してるし胸のドキドキも止まらない。

そしてこんな状態なのに……真尋先輩から目が離せない。

「もしかして俺、穂花ちゃんの事を……」

そのまま私の隣に座っている真尋先輩の顔が私に近づいてくる。

先輩、そんな事言ったら私……勘違いしちゃいますからね。

もう少しで唇が触れる……と思ったその時、真尋先輩の携帯が鳴り始めた。

私と真尋先輩はハッとなり、至近距離で目が合った後パッと離れる。そして先輩は電話に出た。
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