一夜限りの恋人は敵対企業のCEO⁈【後日談有】
「開発したばかりの薬が高額になるのは仕方ないわ。それだけのコストがかかっているんだもの、回収しなければ」
「……そうだな」

 けれど薬は一部の特権階級だけのものではなく、名もなき人々が買えなくてはならない。

「出来るだけ多くの人に買えるように、薬屋は努力すべきなのよ」
「KUSURIYA」
「製薬会社って意味」

 そのためには、言葉は悪いけれど庶民が買える値段を知っているべきだ。

「多賀見は人々が買える額を体感するために、大多数の人が属してる階級と同じ暮らしをするべきだと思っている」

 この発想も上から目線だなぁと思う。
 実家もかなり広いけれど仕方ない、主家の姫様が降嫁されたときに下賜されたのだもの。
 狭いところに住んでいる辛さや、ローンの重圧がわかるかと言われればわからない。

 でも、お父様が年間抑えているホテルのグレードはビジネスクラスだし、公立に行ったからこそクラスメートの暮らしぶりと、自分の家の経済状況の差がいやでもわかった。
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