癒しの君と炎の王~炎の王は癒しの娘を溺愛中~
B班の最後尾を歩く兵士の一人が、隣の先輩兵士に小声で疑問を投げかけた。

「無傷で拘束って難しくないですか?なんで無傷なんでしょうか?」

「お前、癒しの歴史を知らないのか?」

「すいません、知らないです。」

と、申し訳なさそうに答える。その様子を見て、溜め息をついてから先輩兵士が話し出した。

「100年程前に戦争があったろ。あの時に風の国が密かに癒しの力を持つ者を集めて、戦争で負傷した兵士達を治させていたんだ。毎日毎日来る日も来る日も。で、ある日、治してもすぐにまた傷ついて帰って来る兵士達に、どうして治すんだと、このまま死なせてくれないのかと言われて、癒し達は自分達の力はこの世の中に無い方がいいんじゃないかってなってね。大勢の癒しが自死してしまったんだ。それを見かねた神が癒しの力を持つ者に力を消す方法を与えたんだ。癒しの力を持つ者が、自分の傷を治したら、その瞬間、癒しの力はたちどころに消えてしまうってな。」

「だから無傷で連れて行かないと行けないんですね。」

「ああ。万が一傷でも付けて、自分で治されでもしたら、癒しの力は消えて無くなるからな。」
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