癒しの君と炎の王~炎の王は癒しの娘を溺愛中~
ソフィアは息を切らしながら走り続けた。

家の屋根が見えてきた。早くおじいちゃんに知らせないと。

森を抜け家の近くまで来ると、既にベンじいさんは、腕を後ろで縛られ、兵士達に連行されているところだった。


「待って!!おじいちゃんを離して!!」

ソフィアは叫ぶ。

「ソフィア!逃げろ!」

ベンじいさんも叫ぶ。

「うるさい!黙ってろ!」

と言って兵士の一人がベンじいさんを殴った。

「やめてっ!!」

ソフィアが再び叫ぶ。ベンじいさんは殴られた勢いで膝から地面に倒れ込む。ソフィアはすぐにでもベンじいさんの側に駆け寄りたい。しかし、周りにいた兵士達がソフィアの方に向かってきた。

それを見たソフィアは涙をこらえながら後ずさりし、来た道を引き返そうと振り返って走り出そうとしたが、既に数人の兵士に取り囲まれていた。兵士達の上官らしい人物が、

「大人しく付いてきてくれたら痛いことはしないよ。」

「いや!絶対行かない!」

じりじりと後ずさりしながらソフィアは精一杯啖呵を切った。

「じゃあしょうが無いね。」

上官がそう言って行けと言わんばかりに手で合図すると、兵士達が一斉にソフィアに掴みかかった。

ソフィアは思いきり暴れて抵抗したが、兵士の一人が腕をソフィアの首に回し、あっという間に捕らえられた。すぐさまソフィアはその兵士の腕に力一杯噛みつき、兵士が痛さで力が緩んだ隙に、腕を振り払った。そして、走りだそうした瞬間、痛さで激怒した兵士が、落ちていた薪を手に取った。上官が、

「やめろっ!傷つけるなと言われただろう!」

その声は、頭に血の上った兵士には届かず、ソフィアの頭に振り降ろされた。

 ガッ

鈍い音がし、ソフィアはその場に倒れ込んだ。



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