癒しの君と炎の王~炎の王は癒しの娘を溺愛中~
早速今晩から、アンはソフィアの隣のメイド用の部屋に移動した。メイド長と、看護師から、ソフィアの状態と、対応など、事細かく指示を受けた。

アンは一人になると、ベッドにダイブしてから仰向けになると、ふぅっと溜め息をついた。

「まだ信じられない。」

とポツリと呟いた。

一介のメイドが、貴賓室のお客様の部屋付になるなど、アンに取っては、大出世である。
今まで自分が寝ていたむき出しの木の部屋とは違い、部屋の広さ、絨毯や壁紙、家具や調度品に至るまですべてが夢のようだ。

「がんばらなくちゃ!」

そう言うとさっと起き上がり、内扉からソフィアの部屋へ入ると、ソフィアの様子を見に行った。
白い肌に長い睫毛、整った鼻筋。目を開かずとも、その美しさは分かった。ソフィアは静かに眠っている。アンはしばらくそのままソフィアの美しさに見とれていた。

コンコンコン

アンはノックの音でハッとした。
アルバート様かな?

「はいっ!」

アンが返事をすると、なんと部屋に入ってきたのは、ロエルだった。

アンは屈んでお辞儀をする。

「ソフィアは?目覚めたか?」

「いえ。」

「そうか…。」

ロエルはベッドサイドに行き、ソフィアを見つめた。

アンは先程自分もソフィアに見とれていたので、ロエルの気持ちが良く分かった。

しばらくすると、ロエルは、

「もしソフィアが目覚めたら、真夜中でもすぐに知らせてくれ。」

と、言って扉に向かった。アンはロエルの背中に向かって、

「かしこまりました。」

と、答えた。
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