癒しの君と炎の王~炎の王は癒しの娘を溺愛中~
城内の回廊をアンと共にお喋りをしながら歩く。ソフィアの足取りも体力も、もうすっかり元通りになっており、リハビリに始めた朝の散歩は、いつの間にかお喋りの時間になっていた。

楽しく話ながら歩いていると、回廊の先から、あごひげを蓄えた高級な身なりの貫禄のある男性が歩いてきた。

アンがソフィアにそっと耳打ちをする。

「ソフィア様、あの方は大臣のウォルター様です。私の真似をして挨拶をしてください。」

そう言うとアンは回廊の壁側に背を向け、大臣が通ると、スカートをつまみ膝を軽く曲げた。ソフィアもアンと同じように挨拶をした。

大臣は通り過ぎたかと思うとくるりと振り返り、あごひげを触りながらジロジロとソフィアの事を見てきた。

「これはこれは!あなたがロズウェル王がご執心という噂のご令嬢ですかな?」

「えっ?」

「ちなみにあなたは伯爵家?それとも子爵家のご令嬢ですか?」

「ち、違います。私はロエル様の友人です。」

「ふはははっ!男女の間に友人などないでしょう。もし、ロズウェル王とご成婚されることになりましたら、このウォルターが養子縁組致しましょうぞ。」

「…。」

ソフィアはウォルター大臣の言っていることが分からず返す言葉も見つからなかった。

「ふははははっ!」

ウォルター大臣は、笑いながら立ち去って行った。
ソフィアが呆気に取られていると、アンがソフィアの腕をグイッと掴み、早足でスタスタと庭園の方へ歩き出した。
ソフィアは引っ張られるまま、ついて行った。
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